採用動画(求人動画・リクルート動画)の相見積もりを取ると、同じ依頼のはずが30万円・80万円・150万円と並ぶことがあります。差のほとんどは、質ではなく見積もりの前提から来ています。このページでは、どの前提が何倍の差を生むのかを1つずつ分解し、社内で「なぜこんなに違うのか」を説明できる形にまとめます。
差を生む前提を揃えると、5倍あった差が1.5倍程度に縮むことは珍しくありません。
見積もりが何倍も違うのは、なぜですか?
各社が違う前提で見積もっているからです。当社(株式会社OneTrack・東京都渋谷区)は、ビルメンテナンス・ビル管理業界の採用動画を中心に制作している映像制作会社で、相見積もりの一社として他社の見積書と並べられることがよくあります。そこで見てきた差は、ほぼ次の4つで説明がつきます。
- 撮影日数 … 1日で撮るのか、3日かけるのか
- 企画を誰が作るか … 制作会社が作るのか、発注側が構成を持ち込むのか
- 撮影に来る人数 … 2名か、照明・音声・アシスタントを含む5名か
- 値付けの単位 … 動画の種類ごとに「1本◯円」と積むのか、撮影日数で出すのか
このうち金額への効き方が大きいのは、撮影日数と企画の有無の2つです。4つの前提の揃え方そのものは相見積もりの揃え方に、費用の全体像は採用動画の費用の内訳と相場にまとめています。このページでは「なぜそれで何倍にもなるのか」を掘り下げます。
どの前提が、何倍の差を生みますか?
撮影日数がもっとも大きく、それだけで3倍の差になり得ます。撮影費は、ディレクターやカメラマンが何日動くかにほぼ比例するためです。前提ごとの効き方を並べると次のとおりです。
| 前提 | 違いの例 | 金額への効き方(目安) | 見積書のどこに出るか |
|---|---|---|---|
| 撮影日数 | 社員インタビュー3名を1日で回す/1名ずつ3日に分ける | 撮影費がほぼ日数に比例。この例では約3倍 | 撮影費の単位(日・本・一式) |
| 撮影に来る人数 | ディレクターとカメラの2名/照明・音声・アシスタントを含む5名 | 1日の人件費が2倍以上 | 「撮影スタッフ◯名」の行 |
| 企画の有無 | コピーと絵コンテから作る/発注側が構成を持ち込む | 企画費の行が丸ごと増減。当社の比率では制作費の約2割 | 企画費・構成費・ディレクション費の行 |
| 値付けの単位 | 「インタビュー1本◯円+会社紹介1本◯円」/「撮影1日◯円」 | 用途が2つになると、種類制は2本分、日数制は同じ日に収まれば1日分 | 明細が「本」か「日」か |
| 拠点数 | 本社のみ/本社+現場2か所 | 拠点が増えると撮影日数が増え、移動と宿泊の実費も乗る | 撮影場所の記載、交通費・宿泊費の行 |
| 修正・素材の条件 | 修正の回数、BGMの使用権(買い切りか年額か)、撮影素材を渡すか | 当初の総額より、あとから動く金額に効く | 備考欄・別紙の条件 |
倍率は掛け算で効きます。撮影日数が3倍で、来る人数が2倍以上なら、撮影費だけで見れば6倍以上になります。「同じ依頼なのに5倍」という差は、こうした前提の積み重ねで無理なく生まれます。
撮影日数の差は、どこで決まるのですか?
「1日で何を撮り切る設計にするか」で決まります。出演者を同じ日に集めて順番に撮る会社と、出演者ごとに別の日を立てる会社では、同じ3名のインタビューでも撮影日数が1日と3日に分かれます。どちらが正しいということではなく、撮影の組み方の違いです。見積書に撮影日数が書かれていなければ、まずそこを聞いてください。
30万円と150万円は、どう組み立てられていますか?
同じ「社員インタビューを中心にした採用動画」でも、組み立て方でこれだけ変わります。下の表は、よくある組み立て方を型にしたもので、特定の会社の見積もりではありません。
| 型 | 撮影日数・人数 | 企画 | 納品 | 総額が大きくなる理由 |
|---|---|---|---|---|
| A:日数制・少人数 | 1日・2名 | 制作会社が作る(込み) | 本編1本+短尺 | —(当社の撮影1日30万円〜はこの型) |
| B:種類制・積み上げ | 出演者ごとに別日 | 1本ごとに企画費 | インタビュー本数分 | 撮影日と企画費が本数分かかる |
| C:大人数クルー | 複数日・5名前後 | コピー・絵コンテから | 本編+展開素材 | 日数と人数の両方が大きい。表現の幅と引き換え |
A・B・Cは、どれかが割高ということではありません。Cは採用ブランディングムービー(採用ムービー)やTVCMのように、表現の作り込みが目的のときに合う組み方です。一般的な相場でも、社員インタビュー・仕事紹介は10〜30万円、会社紹介ムービーは30〜80万円、採用ブランディングムービーは80〜300万円と、目的によって幅が大きく違います。
問題になるのは、目的がAで足りる依頼にCの見積もりが並んだとき、あるいはCが必要な依頼をAの金額で比べたときです。比較する前に、自社の目的がどの型にあたるかを決めてください。
高い見積もりが正しいのは、どんなときですか?
撮影の条件そのものが重いときです。次のような依頼では、金額が大きくなることに理由があります。
- 拠点が複数ある、または東京から離れた現場を回る(撮影日数と移動・宿泊の実費が増える)
- 日勤と夜勤を別の日に撮る(同じ日に存在しない画は日を分けるしかない)
- コピーや絵コンテから作る採用ブランディングムービー(撮影日数ではなく企画工数で決まる)
- TVCMとして放映する(放映枠・エリア・尺で大きく変わる)
当社の料金でも、撮影2日〜・複数拠点は80万円〜、採用ブランディングムービーは100万円〜、TVCMは個別見積もりです。高い見積もりを見たら「何日・何拠点・何名ぶんか」を聞き、条件に見合っているかで判断してください。
安い見積もりで気をつけることは何ですか?
何が入っていないかを確かめることです。相場より大きく安い見積もりには、企画か編集のどちらかが入っていないことが多くあります。安いこと自体は問題ではなく、抜けている工程を社内で引き受けられるかが判断の分かれ目です。
- 企画が入っていない … 質問項目・出演者の選定・当日の進行表を人事担当者が作ることになる
- 撮影が半日、または1名体制 … インタビューだけになり、働いている様子の画が撮れないことがある
- 修正が有料 … 社内の確認者が増えるたびに費用が加算される
- BGMの使用権が年額 … 翌年以降も費用が続く
- 撮影素材を渡さない … あとで短く切り出したいときに再発注になる
削りすぎの見分け方は採用動画の費用を抑える方法と、抑えすぎて失敗する境目で詳しく書いています。
社内で差を説明するには、どうすればいいですか?
総額を「撮影1日あたり」と「納品1本あたり」の2つに割り直して並べてください。決裁者が知りたいのは「なぜ高いのか」「なぜ安いのか」で、この2つの数字を出すと答えがそのまま見えます。
- 各社の見積書から、撮影日数・来る人数・拠点数・納品本数・企画の有無を書き出す
- 総額を撮影日数で割る(1日あたりの単価)
- 総額を納品本数で割る(1本あたりの単価)
- 書かれていない項目は「未記載」とし、その会社に確認する
たとえば当社の場合、撮影1日・納品1本なら1日あたりも1本あたりも30万円、同じ1日の撮影を職種別に3本へ分けて納品する50万円〜なら、1日あたり50万円・1本あたり約17万円です。未記載が3つ以上ある見積もりは、あとから金額が動く可能性が高いと考えてください。比較表の型は相見積もりの揃え方にあります。稟議の通し方は稟議通過キットにまとめています。
よくある質問
Q. 採用動画の見積もりが会社によって何倍も違うのは、なぜですか?
A. 各社の前提が揃っていないためです。差の大半は、撮影日数(1日か3日か)、企画を誰が作るか、撮影に来る人数(2名か5名か)、値付けの単位(動画の種類ごとか撮影日数か)の4つで説明がつきます。撮影費は日数にほぼ比例し、来る人数が2名と5名では1日の人件費が2倍以上違うため、掛け合わせると5倍前後の差は無理なく生まれます。前提を揃えると、差が1.5倍程度に縮むことは珍しくありません。
Q. 相見積もりで一番高い会社と一番安い会社、どちらを選ぶべきですか?
A. 金額ではなく、自社の目的に合った前提で見積もっている会社を選んでください。職種の仕事を伝えて応募(エントリー)を増やす社員インタビュー中心なら、撮影1日・少人数の見積もりで足ります。企業ブランド全体を作り直す、TVCMで放映するといった目的なら、日数と人数が大きい見積もりに理由があります。目的を1行にしてから、各社の撮影日数・人数・企画の有無を並べると判断できます。
Q. 見積書に撮影日数が書かれていません。どう聞けばいいですか?
A. 「この金額は、撮影何日・何拠点・何名ぶんですか」と聞いてください。あわせて「企画費は2本目にもかかりますか」「修正は何回まで含みますか」「BGMは買い切りですか」を聞くと、あとから金額が動く箇所まで分かります。答えが曖昧な項目は、比較表に「未記載」と書いておきます。
Q. 株式会社OneTrackの見積もりは、どの前提で出ていますか?
A. 撮影日数で出しています。撮影1日30万円〜で、企画・撮影・編集を含み、ディレクターとカメラの2名で伺います。出演人数は金額に影響しません。同じ1日の撮影を職種別に3本へ分けて納品する場合は50万円〜(2本目以降は1本あたり10万円)、撮影2日〜・複数拠点は80万円〜、採用ブランディングムービーは企画工数で決まる別枠で100万円〜です。東京以外では、移動と宿泊の実費を分けて明示します。
Q. 前提を揃えても差が残る場合、何を見ればいいですか?
A. 企画の中身と、撮影後の条件を見てください。同じ「企画込み」でも、質問項目の設計や出演者の選定まで入っているかで作業量が違います。撮影後の条件では、修正回数、BGMの使用期間、撮影素材の受け渡し、二次利用(採用サイト・説明会・SNS)に追加費用がかかるかで、数年単位の総額が変わります。
関連ページ:撮影日数で見積もる会社と、種類で見積もる会社のどちらがいいのか/採用動画は1本ずつ発注するのとまとめるのとどちらが安いか
2026年9月24日 公開

