Retention

-現場職の定着と採用-

現場職がすぐ辞める。
定着率を上げるために採用段階でできること

定着率 早期離職 現場職

2026.09.24

現場職がすぐ辞めてしまう問題は、入社後の育て方だけでなく、採用の段階でもかなりの部分を手当てできます。早期離職の理由としてよく挙がるのが、入社前に思い描いていた仕事と実際の仕事のずれだからです。建設・設備管理(ビル管理・建物管理)・清掃・警備・運送などの現場職を想定して、求人票・面接・職場見学・内定から入社までの各段階でできることをまとめます。

採用段階で定着率は上げられますか?

上げられます。入社してすぐ辞める理由としてよく聞かれるのは、「聞いていた話と違う」です。このずれは、求人票と面接の段階でつくられています。

当社(株式会社OneTrack・東京都渋谷区)は、ビルメンテナンス・ビル管理業界を中心に現場職の採用動画を制作している映像制作会社です。定着を目的にした採用は、応募数を増やす採用とやり方が逆になります。魅力を最大にして見せるのではなく、合わない人が自分で降りられる情報を、入社前に渡すことが中心になります。

早期離職の理由は、採用のどこで生まれていますか?

辞める理由を採用の段階までさかのぼると、手当てできる場所が見えてきます。

よくある辞める理由採用段階で起きていたこと採用段階での手当て
思っていたより体力的にきつい求人票に作業の中身と量が書かれていなかった1日の流れ、重量物や屋外作業の有無を書く。見学で見せる
夜勤・宿直が想像と違った「夜勤あり」の一行だけで、中身を説明していなかった回数、拘束時間、仮眠の環境、夜にする仕事を伝える
一人にされて不安だった教え方を決めないまま採用していた教育係と最初の3か月の流れを決め、面接で伝える
職場の人と合わなかった面接官以外の社員に会わずに入社した見学で一緒に働く人と話す時間をつくる
給与や休日が聞いていた話と違った手当や残業代の説明があいまいだった内訳とモデル月収を書面で示す

表の左の理由は、どれも入社後に初めて分かったことです。入社前に分かっていれば、その人は応募しなかったか、納得したうえで入社していたはずです。

求人票で、合わない人に応募前に降りてもらうには?

仕事の厳しい部分を、具体的な数字や場面で先に書きます。これは採用の分野で「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」と呼ばれる考え方で、良い面だけでなく大変な面も入社前に見せることで、入社後のずれを小さくします。

  • 夜勤・宿直:「月4回程度。1回あたり○時から翌○時まで。仮眠は○時間」のように書く
  • 体力:1日に歩く範囲、階段の上り下り、重い物を運ぶ頻度を書く
  • 緊急対応:呼び出しがあるか、あるならどのくらいの頻度か
  • 勤務地:現場が変わるのか、移動は車か電車か、直行直帰はあるか
  • 資格:入社後に取る前提の資格と、取れなかった場合の扱い

こうした情報を入れると、応募数は一時的に減ることがあります。ただし減るのは、その条件では続かなかった人たちです。何を成功とするか(応募数か、面接に進む率か、入社後の定着か)を、先に社内で決めておいてください。

面接と職場見学で、何を確かめますか?

面接は会社が選ぶ場であると同時に、応募者が会社を確かめる場でもあります。一方的に質問するだけでなく、応募者の「聞きにくいこと」に先に答えます。

面接で、会社から先に伝えることは何ですか?

求人票に書いた厳しい部分を、面接でも口頭でもう一度伝えます。そのうえで「この部分で心配なことはありますか」と聞くと、応募者が本音を言いやすくなります。夜勤、体力、人間関係、給与の内訳は、応募者からは聞きにくい話題です。

職場見学では、何を見てもらいますか?

実際に働く現場と、休憩室・更衣室、そして一緒に働く予定の社員です。面接官だけでなく、年の近い社員や教育係と少し話す時間をつくると、入社後の人間関係を想像しやすくなります。見学のあとに辞退する人がいても、それは入社後に辞める人が一人減ったということです。

応募者の何を確かめればいいですか?

経験やスキルより先に、働き方の条件が合うかを確かめます。夜勤に入れる回数、通勤にかけられる時間、体力面の不安、前職を辞めた理由です。条件が合わないまま採用すると、どれだけ本人にやる気があっても続きません。

内定から入社までに、何をしますか?

内定から入社までの期間に連絡が途切れると、不安が大きくなります。入社前に次のことをしておくと、初日の不安が減ります。

  • 労働条件(給与の内訳、勤務時間、休日、試用期間)を書面で渡し、口頭でも説明する
  • 入社日の集合場所と時間、持ち物、服装、最初の1週間の予定を伝える
  • 教育係を決め、入社前に顔を合わせるか、連絡先を伝えておく
  • 入社後1か月・3か月の時点で、面談の日を先に決めておく

特に現場職は、配属先の現場や一緒に組む人が入社日まで決まっていないことがあります。決まっていない場合は「いつ決まるか」だけでも伝えてください。何も分からないまま初日を迎えるのが、いちばん不安が大きい状態です。

動画は、定着のためにどう使えますか?

入社前に仕事の実際を見せる手段として使えます。求人票や面接の説明では、夜勤の空気や現場の広さ、社員同士の話し方までは伝わりません。職場見学でそれを見せられるのは、実際に来られた人だけです。

当社が定着を目的にした求人動画(採用ムービー)を作るときは、出勤から退勤までを追う1日密着や仕事紹介の形にして、夜勤や緊急対応など、合わない人が自分で降りられる情報をあえて入れます。応募数を増やす動画とは作り方が逆なので、1本で両方を狙うことはしません。夜間の撮り方は夜間の撮影に、費用は採用動画の費用にまとめています(撮影1日30万円〜)。

動画は、内定者に入社前に見てもらう使い方もできます。ただし、教える人が決まっていない、労働条件の説明があいまいといった問題は、動画では埋まりません。そちらを先に整えてください。

よくある質問

Q. 仕事の厳しい部分を正直に書くと、応募が減りませんか?

A. 減ることがあります。ただし減るのは、その条件では続かなかった人たちです。早期離職に悩んでいる場合は、応募数ではなく、面接に進む率や入社後の定着で成果を見るように、社内で基準を決めておいてください。

Q. 早期離職を減らすために、面接で何を聞けばいいですか?

A. 経験やスキルより先に、働き方の条件が合うかを確かめてください。夜勤に入れる回数、通勤にかけられる時間、体力面の不安、前職を辞めた理由です。あわせて、会社側から厳しい部分を先に伝え、心配なことがないかを聞きます。

Q. 職場見学のあとに辞退されるのは、失敗ですか?

A. 失敗ではありません。見学で合わないと分かった人は、入社しても早く辞めてしまっていた可能性が高い人です。見学で辞退が出るのは、入社前にずれが見つかったということです。

Q. 採用段階の工夫だけで、定着率は上がりますか?

A. 採用段階で減らせるのは、入社前の想像と実際のずれによる離職です。入社後の教え方、人間関係、労働条件そのものに原因がある離職は、採用だけでは防げません。採用と入社後の受け入れを、同じ担当者が一続きで見ることをお勧めします。

Q. 定着を目的にした採用動画は、どんな内容にすればいいですか?

A. 出勤から退勤までを追う1日密着や仕事紹介の形で、夜勤や緊急対応、体力が要る場面も含めて見せます。良い面だけを見せる動画は応募数を増やすのには向きますが、入社後のずれを減らすのには向きません。

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2026年9月24日 公開