Subsidy

-市場開拓助成金と動画制作-

市場開拓助成金は
動画制作に使えるのか

助成金 動画制作費 東京都

2026.09.23

東京都中小企業振興公社の「市場開拓助成事業」は、助成対象経費に「動画制作費」が明記されています。上限300万円・助成率1/2。
ただし、採用動画には使えません。この制度は販路開拓が目的で、しかも申請には都や公社の認定を先に取っている必要があります。何に使えて何に使えないのかを、公募情報から整理します。

結論:製品PRには使える、採用動画には使えない(※1・※2)

先に結論を書きます。市場開拓助成事業の助成対象経費には「動画制作費」が正式に含まれています。販売促進費という区分の中に、EC出店初期登録料・サイト制作改修費・印刷物制作費と並んで書かれています。

ただし、この制度の目的は「新規取引先の開拓を図るなど、都内の中小企業者等の振興に資すること」です。つまり販路開拓であって、採用ではありません。人材採用のための動画は、この目的に当てはまりません。

作りたい動画この制度理由
認定を受けた製品の紹介動画(展示会・EC・広告で使う)対象になりうる販売促進費の「動画制作費」に該当する
採用動画・求人動画対象外販路開拓ではないため、事業の目的から外れる
会社紹介動画(採用目的)対象外同上。名目が会社紹介でも、用途が採用なら通らない
社内向けの研修動画対象外販路開拓ではない

採用動画の費用を軽くしたい場合、この制度は答えになりません。採用動画に助成金は使えるのかに、国の制度をひとつずつ当たった結果をまとめています。

制度の中身(金額・期間・対象経費)

正式名称市場開拓助成事業(東京都支援製品の市場開拓助成)
実施主体公益財団法人 東京都中小企業振興公社
助成限度額300万円(販売促進費は単独申請不可)
助成率1/2以内
助成対象期間令和8年9月1日〜令和9年11月30日(最長1年3か月)
目的対象商品の展示会出展などを助成し、新規取引先の開拓を図ること

助成対象経費の区分

大きく2つに分かれ、動画制作費は後者に入ります。

区分中身
展示会等参加費出展小間料、資材費、輸送費、通訳費
販売促進費EC出店初期登録料、サイト制作・改修費、印刷物制作費、動画制作費、広告掲載費

上限300万円・助成率1/2ということは、600万円の経費に対して300万円まで。ただしこれは展示会出展費も含めた全体の枠なので、動画だけで300万円が出るわけではありません。

申請できるのは「認定を先に取っている会社」だけ

ここが最大のハードルです。この助成金は誰でも申請できるものではなく、東京都や公社の事業で評価・認定・支援を受けた製品が対象です。公社は38種類の認定・評価プログラムを挙げていて、そのいずれかを満たす必要があります。例えば次のようなものです。

  • 東京都ベンチャー技術大賞で大賞・優秀賞・奨励賞・特別賞を受賞した
  • 経営革新計画の承認を受けた(計画に基づく自社の製品・サービスが特定できること)
  • 事業可能性評価事業で「可能性あり」と評価された

対象となる認定の取得時期にも期限があり、公社は令和4年4月1日から令和8年4月30日までの期間を示しています。

つまり、思い立ってから申請するのは間に合いません。先に認定を取っている会社が、その製品を売るために使う制度です。

見落としやすい4つの条件

0. 動画制作費「だけ」では申請できない

これが一番見落とされます。販売促進費は単独では申請できません。展示会等参加費・EC出店初期登録料・自社Webサイト制作費のいずれかとあわせて申請する必要があります

つまり「動画を1本作りたいので300万円の枠を使いたい」という申請は通りません。展示会に出る、ECに出店する、販売用サイトを作るといった販路開拓の本体があって、その販促物として動画が位置づけられる形になります。

1. 自社で作った動画は対象外

公社のFAQには、自社内で作成したチラシや動画、webサイト等の費用は対象外と書かれています。外部の制作会社に委託した場合のみ対象です。社内で撮って編集する方法はコストを抑えられますが、この制度とは併用できません。

2. 成果物の提出が必要

実績報告のとき、経理書類に加えてデザイン版下や画像データなどの成果物を契約ごとに提出します。納品データを保管しておく必要があります。

3. 後払い

助成金は原則として事業が終わってからの精算払いです。制作費はいったん全額を自社で立て替えます。資金繰りの計画に入れておく必要があります。

いつ申請できるのか

令和8年度の申請受付は令和8年5月15日(金)10時〜5月29日(金)17時で、すでに終了しています。

受付期間は2週間ほどしかありません。次年度に使うつもりなら、年度が明ける前に認定の取得と製品の整理を済ませておく必要があります。公募の詳細は毎年変わるため、最新の要項は公社の公式ページで確認してください。

当社に依頼する場合(できること・できないこと)

先に、できないことから書きます。当社は申請の代行をしません。助成金の申請は事業者ご自身または認定支援機関の領分で、制作会社が代行できるものではないためです。また、助成が下りるかどうかを当社が保証することもできません。認定の有無と審査で決まります。

そのうえで、事実として言えることが3つあります。

外部委託の条件この制度は自社内で作成した動画を対象外としています。制作会社への委託は、経費区分としてこの条件を満たします
成果物の提出実績報告で求められる画像データ等の成果物を、契約ごとにお渡しできます
販促・PR動画の実績採用動画以外の実績を公開しています(下記)

販路開拓・PR目的の制作実績

案件種別
三井不動産ビルマネジメント株式会社様ブランディングムービー(1分2秒)。TVCMとしても使用
日本語オンラインスクール合同会社様会社紹介動画
合同会社AccompaU様PR動画
つつじのさと内科医院様プロモーションビデオ(3分10秒)
AIセキュリティ株式会社様対談動画

費用は撮影1日30万円〜、撮影2日以上・複数拠点は80万円〜です。助成の対象になるかは制度側の判断ですが、見積書の作り方(区分の分け方・単価の書き方)はご相談いただけます。申請で経費の内訳が説明できないと差し戻しになるためです。見積書の見方は見積書の読み方にまとめています。

よくある質問

Q. 採用動画を「会社紹介動画」という名目にすれば通りますか?

A. 通りません。この制度は対象商品の販路開拓が目的で、実績報告では成果物の提出も求められます。用途が採用であれば、名目を変えても目的から外れます。

Q. 認定を持っていない会社でも申請できますか?

A. できません。東京都や公社の38種類の認定・評価のいずれかを先に取得している必要があります。これから取る場合、申請までに年単位の準備が要ります。

Q. 動画制作費だけで300万円もらえますか?

A. もらえません。300万円は展示会出展費なども含めた助成全体の上限で、助成率は1/2です。動画に600万円かけて初めて300万円が上限に届く計算になります。

Q. 社内で撮影して編集だけ外注する場合は?

A. 外部委託した部分が対象になりますが、自社内で作成した費用は対象外とされています。どこまでが委託かを契約書と成果物で示せる形にしておく必要があります。

Q. 採用動画に使える制度はないのですか?

A. 国の制度で採用動画にそのまま使えるものは、当社が調べた範囲では見つかっていません。詳細と、それでも残る2つの道を採用動画に助成金は使えるのかにまとめています。

この記事の注釈

※1 本記事は2026年9月23日時点で公開されている公募要領・公式FAQに基づいています。補助金・助成金は公募回ごとに要件が変わります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

※2 「対象」と書いた経費も、対象になるかどうかの最終判断は事務局および審査によります。当社を含む制作会社が可否を判断・保証することはできません。

※3 補助率・上限額は枠や特例の適用によって変わります。表に記載した数値は通常枠を前提としたものです。

※4 補助金は着手前の申請が原則で、後払いの精算払いです。採択されなかった場合は全額が自己負担になります。

2026年9月23日 公開